法改正などの最新情報

2023/01/25

休職期間満了時に復職出来ない場合の対応について

休職期間満了時に復職出来ない場合の対応について

復職出来ない場合に退職か休職期間延長か

 休職とは、雇用する労働者が業務以外の病気などにより、療養のため働くことができない場合に、一定期間会社に在籍したまま休むことができる制度です。この休職制度に法的な義務はなく、制度を設けるかどうかは会社の判断によります。したがって、就業規則上の労働条件として休職制度を設けていない場合は、私傷病のために療養をする労働者は会社との労働契約上の労務提供義務を履行できないことになるので、解雇となるか自己都合退職するかのいずれかになります。
 しかし、休職制度を設けている場合には、それが労働契約の労働条件の一つになり、休職事由および休職要件に基づき休職制度を適用することが義務付けられます。休職制度が適用される間は、従業員としての地位を継続し、社会保険の被保険者となっている場合にはその資格が継続され、療養のために医療機関においても健康保険証を使用することができます。
 休職制度を設ける場合の休職期間の定め方も、会社の判断によります。私傷病休職を事由とする休職期間を定める場合には、過去の勤続貢献などを勘案して勤続年数に応じて「3ヵ月」「1年」「1年6ヵ月」と定めていることが多く、入社1年以内の場合は適用除外とする企業もあります。
 問題となるのは、今回の場合のように、休職した労働者が休職期間満了時まで職場復帰(復職)できないときの対応です。休職期間が満了しても復職できなければ、法的には労働契約の終了となります。労働契約の終了には「解雇」と「(自己都合)退職」があります。どちらになるかは、休職制度を定めた就業規則の規定に基づきます。
 休職に係る就業規則の定め方には、休職期間が満了しても復職できない場合には「退職とする」「自然退職とする」「解雇とする」などがあります。「退職とする」は自己都合退職ではありませんが、本人の都合で労務が提供できなくなったと解釈されることから、自己都合退職とみなされるのが一般的です。
 「自然退職」「自動的に退職とする」とは、労働者が労働契約上の労務を提供できなくなったとの解釈による労働契約の終了ですので、自動的に労働契約が終了し退職扱いとするものです。以上はいずれも解雇ではないので、解雇予告または解雇予告手当の支払いは不要です。ただし、本人が先々の復職を希望しているにもかかわらず、会社側が本人の復職の申し出を拒否して退職となった場合には争いが生じる可能性があります。また、過去に休職期間延長措置を講じている他の労働者がいるなどの実態がある場合は、自然退職も無効となる可能性もありますので注意しなければなりません。
 就業規則に「休職間満了後、復職できない者は解雇する」と定めていれば、基本的には解雇が可能ですが、労働基準法第20条に基づき30日以上前の解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要となります(昭27.7.25.基収第1628号)。また、この場合も解雇が有効とみなされるには、復職可能となる「治癒」までの見込み期間に相当程度の期間が必要となることや、他の軽易な業務への配置転換が不可などの合理的な理由が必要となる場合もあります。